働く わんこ

空港で活躍する犬たち
麻薬探知犬・検疫探知犬になるまで

空港で見かける、ハンドラーと一緒に歩く犬たち。実は彼らは、鋭い嗅覚を生かして私たちの安全な暮らしを支える「探知犬」です。

同じように空港で活躍していますが、仕事はそれぞれ違います。

麻薬探知犬は、麻薬などの不正薬物のにおいを探す犬。
一方、動植物検疫探知犬は、海外から持ち込まれる肉製品や果物などを探します。家畜の伝染病や植物の病害虫が国内へ侵入するのを防ぐ、大切な仕事です。

では、探知犬たちは、どのようにして「空港で働く犬」になるのでしょうか?

STEP 1 まずは「向いている犬」を探す

探知犬なら、どんな犬でもなれるというわけではありません。

大切なのは、もちろん優れた嗅覚。そして、人や大きな音、さまざまな環境を怖がりすぎないことも重要です。
さらに意外なのが、「遊ぶことやごほうびが大好き!」という性格。

検疫探知犬の育成では、探知対象のにおいを見つけたときに、おやつなどをもらえることを利用して訓練します。
そのため、食べ物への意欲が高いことも大切なポイントなのだそうです。

ビーグルやラブラドール・レトリーバーなどが活躍していますが、検疫探知犬では、適性があればそれ以外の犬が育成される例もあります。実際に動物愛護センターから来た犬が探知犬としてデビューした例もあります。

STEP 2 まずは「社会」に慣れる

いきなり薬物や肉のにおいを探す訓練が始まるわけではありません。

最初に行うのは、人間社会のさまざまな環境に慣れること。
人、物、音、場所などに対して、必要以上に怖がったり興奮したりしないかを確認します。

空港は、人がたくさん歩き、大きな音もする場所。
そこで落ち着いて仕事をするためには、探知能力だけでなく「環境に慣れる力」も欠かせません。

STEP 3 「におい」を覚える

ここから、いよいよ探知犬らしい訓練が始まります。

麻薬探知犬は、麻薬などの不正薬物のにおいを探知できるように訓練されます。税関の麻薬探知犬訓練センターでは、基礎から応用、熟達へと段階的に訓練が行われ、適性を評価しながら育成されます。
検疫探知犬の場合は、肉製品や果物など、検疫の対象となるもののにおいを覚えていきます。

例えば「肉」といっても、生肉、干し肉、ソーセージなど種類はさまざま。
そのため、いろいろな種類・状態のにおいを覚える必要があります。

STEP 4 「隠されたにおい」を探す

においを覚えたら、次は実践に近い訓練へ。

最初は分かりやすい場所にある探知対象物からスタートし、徐々に難しくしていきます。
箱の中、スーツケースの中、ほかの食品が入った荷物の中……。
「どこに隠れていても、目的のにおいを見つける」
ことができるように、さまざまな条件で練習します。

STEP 5 空港の環境で練習!

そして、いよいよ実際の仕事を想定した訓練です。

人がたくさんいる場所を歩いたり、さまざまな荷物を嗅いだり、周囲でいろいろな音がする環境で探知したり……。
検疫探知犬では、最終段階になると実際の空港へ行き、旅客の中を歩く練習や探知活動も行います。
ここまで来ると、訓練はかなり本番に近づきます。

STEP 6 ハンドラーとの「コンビ」が完成!

探知犬の仕事は、犬だけで完結するものではありません。
一緒に行動するのがハンドラーです。

麻薬探知犬では税関職員がハンドラーとなり、探知犬とペアを組んで検査を行います。普段から担当犬の世話をすることも重要な仕事です。
検疫探知犬も、ハンドラーと一緒に活動します。

犬が対象となるにおいを見つける
↓
決められた方法で知らせる
↓
ハンドラーが確認する
↓
検査官による確認へ

という流れで、犬の能力と人の判断を組み合わせて仕事をしています。

そして、いよいよ現場へ!

こうした訓練と評価をクリアして、探知犬としてデビューします。
麻薬探知犬は空港や港、国際郵便局などで不正薬物の水際対策に活用されています。検疫探知犬は、空港などで肉製品や果物などを探し、家畜の伝染病や植物の病害虫が日本へ侵入することを防いでいます。
一見すると、空港を歩いている「かわいい犬」。
でも、その鼻には、私たちの暮らしを守る大切な役割が託されています。

「見つける」のは犬。「判断して対応する」のは人。

犬と人が力を合わせることで、今日も空港の安全が守られているのです。